月経不順とは
月経の周期とは月経第1日目から次の月経の前日までのサイクルを言います。このサイクルには大きく個人差がありますが、通常25日~38日とされています。この周期内で、サイクルの変化が6日以内、月経の持続が3~7日程度であれば月経周期は正常とされています。
このような、一定したサイクルにおさまらない、または一定のサイクルがないような場合を月経不順といいます。
月経不順は、正常のサイクルより月経周期が長い「希発月経」と、正常サイクルより短期間となる「頻発月経」に分類できます。また、妊娠していないのに3カ月以上月経がない場合は「無月経」といわれます。
月経不順の分類
希発月経
38日よりも長い周期で月経がくるのが希発月経です。周期が長い場合でも、それが定期的であればあまり心配する必要はないでしょう。しかし周期がどんどん長くなる場合や、希発性の状態が続く場合などはホルモンの異常があるかもしれません。その場合、卵巣や甲状腺の機能に異常があることも考えられます。異常を感じた場合は迷わず婦人科の専門に診てもらうようにしましょう。
頻発月経
25日より短い周期でくる月経を頻発月経といいます。頻発月経は排卵があるかどうかで診断がわかれます。
排卵がある場合
排卵があるのに頻発月経がおこる場合は、ホルモン不足で卵胞期、黄体期のどちらかが短いか、あるいは両期とも短いもので、卵胞ホルモンか黄体ホルモン、あるいは両方が不足していることが考えられます。
排卵がない場合
月経はあるのに排卵がないケースを無排卵性月経といいます。月経周期や経血の量などが急に変化した場合には、この無排卵性月経が考えられます。無排卵が続くと不妊症をおこしやすいといわれています。無排卵かどうかを調べるには、基礎体温の記録が有効です。基礎体温が低温期と高温期のサイクルできれいに二相化されていれば排卵があるといってよいでしょう。ただし詳細には超音波検査が確実です。基礎体温から、無排卵の心配があるときや、二相化があらわれていても、周期がぶれるなどの場合には、早めに婦人科を受診するようにしましょう。
月経不順の原因
月経周期に大きく関わる卵胞ホルモンと黄体ホルモンの2つの性ホルモンは、脳下垂体で分泌される性腺刺激ホルモンによって調節されており、これがさらに視床下部から分泌される性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)によってコントロールされています。これらのうちどれかのホルモンの分泌に変調をきたした場合に、月経不順がおこります。
月経不順の原因として多いのは、視床下部のGnRH機能の変調です。視床下部は、生活習慣やストレスなどの影響をうけやすく、それにより月経不順をおこしやすいとされています。また、他の疾患によっていろいろな薬を服用している場合にも視床下部が影響をうけ、月経不順をおこすことがあります。
そのほかには、卵巣や甲状腺に異常がありホルモン分泌に変調をきたしている場合もありますので、何らかの異常を感じたり、不安を感じたりする方はすぐ婦人科を受診するようにしましょう。
また、加齢によって卵巣機能が低下すると、脳と臓器とのやりとりがスムーズに行われにくくなることから卵巣刺激ホルモンの分泌が増えることがあります。卵胞がはやく育ってしまい、排卵が早くなることも考えられます。これを卵胞期短縮症といい、頻発月経のような症状となります。
治療
ストレスや生活習慣が月経不順の引き金となっている場合には、リラックスしたり生活のリズムを整える、体を動かしたりするなどによって、発散することで症状は軽減します。
検査で重要なのは、基礎体温と血中のホルモン量です。こうした検査で異常がない場合は、あまり心配しなくてもよいでしょう。
もし異常が認められた場合は、まずホルモンのバランスを調整する薬、ピルなどによる月経周期の調節や排卵促進剤などが処方されます。
加齢による排卵期短縮症では、妊娠を希望するかしないかによって方針はかわります。
妊娠を望む患者さんの場合は、排卵誘発剤と、場合によって性腺刺激ホルモンを刺激する薬などを併用し、卵胞期の長さを調節し妊娠の可能性を高めていきます。
一方で、排卵期短縮症と診断されても、妊娠を希望しない場合は、経過観察程度でとくに治療は必要としません。