更年期障害

更年期障害とは

更年期障害とは閉経を迎える年齢は、日本人の場合は平均すると50.5歳ぐらいだといわれています。
閉経の前後10年ほどの期間を更年期といいます。更年期になると、30歳代でピークを迎えるエストロゲン(卵胞ホルモン)の分泌が徐々に減ってホルモンバランスが変化していきます。これに加え、加齢による身体的要因と環境による社会的要因、これらを感じ取る心理的要因なども加わって複雑な症状を呈することになります。それらの諸症状を更年期症状といいます。この更年期症状によって正常な社会生活に支障をきたすような重いものを「更年期障害」とよんでいます

更年期障害の症状

大きく3種類に分けられます。

血管の拡張と放熱が関わっている症状

ほてり、のぼせ、ホットフラッシュ、発汗など
ホットフラッシュは、突然体がほてって、大量の汗が出てくる症状です。

それ以外の身体症状

めまい、立ちくらみ、耳鳴り、動悸、胸を締め付けられる感じ、頭痛、肩こり、腰や背中の痛み、関節痛、冷え、しびれ、疲れやすさ、尿トラブルなど

気持ちに現れる症状

イライラ、不安感、気分の落ち込み、意欲の低下、情緒不安定、睡眠障害など

更年期には様々な症状が現れますが、生活習慣病をはじめとした病気リスクも高くなる時期ですから、現れた症状が更年期以外の病気を原因として起きているわけではないことをしっかり調べてもらうことが重要です。更年期障害だと自己判断せず、症状があったら必ず受診してください。

治療

更年期障害の症状は、さまざまな要因がからみあって起こっています。そのため、問診でしっかりお話を伺うことを当院では重視しています。更年期のことを正しく理解いただき、生活習慣の改善で大きな効果が現れることもあります。ただし。つらい症状がある場合には効果的にそれを改善する薬物療法も重要です。

ホルモン補充療法(HRT)

更年期に起こる症状は、エストロゲンが大きく揺らぎながら低下していくことが発症の大きな原因になっています。ほてり・のぼせ・ホットフラッシュ・発汗などの症状が強い場合には、少量のエストロゲンを補うホルモン補充療法(HRT)が有効です。また、それ以外の症状にも効果があることもわかっています。
ただし、エストロゲン単独では子宮内膜増殖症のリスクが上昇してしまうため、黄体ホルモンを併用する治療が一般的に行われています。なお、子宮を手術などで除去している場合には、増殖症の心配がないためエストロゲン単体での処方となります。
飲み薬、貼り薬、塗り薬などがあって薬を飲むのは苦手などお好みに合わせた処方が可能ですし、休薬時間を入れるなど投与方法も選ぶことができますので、患者様と相談して最適な方法を選択します。

漢方薬

漢方薬多彩な症状を持つ更年期障害では、心と身体のバランスを回復させる漢方薬による治療が昔からよく行われてきました。さまざまな生薬を組み合わせることで、体力や体質、現れる症状のタイプに合わせた処方が作られています。特に、「婦人科三大処方」と呼ばれる当帰芍薬散・加味逍遥散・桂枝茯苓丸はよく使われています。

向精神薬

更年期には、つらい精神症状が現れることも珍しくありません。イライラ、不安感、気分の落ち込み、意欲の低下、情緒不安定、睡眠障害などがある場合には、状態や症状に合わせて抗うつ薬・抗不安薬・催眠鎮静薬などの向精神薬を効果的に用いることも重要です。比較的新しい抗うつ剤の選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)やセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)など、副作用が少なく、ほてりなどにも効果が期待できるものも登場しています。

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