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2018.02.17

高プロラクチン血症について

横浜市の田渕レディスクリニックです。
今回は高プロラクチン血症についてお伝えします。

◆高プロラクチン血症とは?

まず、プロラクチンとは「乳腺刺激ホルモン」と呼ばれる脳下垂体から分泌されるホルモンで、母乳をつくるために欠かせないホルモンです。
本来であれば出産後に多く分泌されるホルモンですが、出産や授乳をしていないのにプロラクチンの数値が高い状態のことを高プロラクチン血症と言います。
プロラクチンの数値が高くなると、排卵障害や黄体機能不全による月経不順などが起こり、不妊の原因となります。
自覚症状が出にくく、乳汁が出るなどの症状がない限り自分では気づくことが難しい病気で、血液検査を受けることで初めてわかったという方も少なくありません。

自覚症状としてわかりやすい症状としては
・妊娠していないのに母乳が出る
・年に数回しか生理が起こらない
・無月経、無排卵、無排卵月経などの排卵障害
・胸の張りやしこり感
・頭痛や目の違和感
・習慣性流産
・骨粗しょう症
などがあります。

自覚症状として一番多いのは妊娠していないのに母乳が出ることです。授乳の必要がない時でもプロラクチンの値が高くなると乳汁が分泌されることがあります。
乳首を強く押したときに出たり、お風呂で温まったときに自然ににじみ出てきたり、片方だけ出たりと、人によって乳汁の分泌の仕方は異なります。
ですが、高プロラクチンであっても乳汁が出ない人や、症状に気付かないこともありますので、乳汁が出たから高プロラクチン血症だと判断はできません。
またプロラクチン値が正常でも母乳が出ることはあり、その場合は乳汁の色(茶色や赤色が混ざるとほかの病気の疑い)や、プロラクチン以外のホルモン値、生理周期、出産授乳の経験などを総合的にみる必要があります。
ほかに習慣性流産の方の15%に高プロラクチン血症がみられるとの報告もありますが、これは黄体機能不全を合併することが誘因になっていると考えられています。

◆原因

多くの症状や病気の原因は共通点がありますが、高プロラクチン血症の原因には以下のようなものが考えられます。

・肉体的、精神的ストレス
・薬による副作用
・脳下垂体の腫瘍

薬による副作用として胃潰瘍の薬や抗うつ剤など、他の治療薬によってプロラクチンが過剰に分泌されることがあります。
脳下垂体に腫瘍ができたことによるプロラクチンの過剰分泌が原因の場合もあり、他にも視床下部の病気や甲状腺機能の低下、てんかん、慢性腎不全など複数の病気によってプロラクチン値が高くなることがあります。

◆検査・治療

高プロラクチン血症は、採血によるホルモン検査で調べることができます。妊娠を望む成人女性の場合であれば、血液中のプロラクチンの正常値は5ng/mL前後で、15ng/ml以上になると高プロラクチン血症と診断されます。
治療の方法は妊娠予定があるかどうかで変わります。妊娠を積極的に望まない人の場合は、低用量ピルを使用しホルモンのバランスを整えていきます。生理不順や不正出血がある場合であれば、多くの方が3か月以内に改善していきます。低用量ピルが服用できない方には漢方薬での治療になります。
妊活中、もしくは今後妊娠を予定している人の場合は、プロラクチンの値を下げる薬を内服します。これにより排卵しやすくなり、妊活にも影響がなくなります。
不妊の原因になる高プロラクチン血症は、薬によってほとんどが改善しますが、日ごろからホルモンバランスを整える生活を意識することが改善につながります。
ストレッチなどの軽い運動で体を動かしたり、体を温めて自律神経を整えるなど、ストレスをためないようにしましょう。

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